育生ちゃん保護の経緯

育生ちゃんに関わっている主なメンバー
1.保護主さん(第一発見者で最初に保護した人)……YOHさん
2.現在の預かりボランティアさん……チョコママさん(たんぽぽの里代表)
3.一時預かり(断脚手術後から1週間預かった人)……マナ(当ページ管理人)

2008年2月18日、mixiの里親探し系のいくつかのコミュニティにSOSのトピックが立てられました。トピ主は、YOHさん。
足を切断されてしまった野良猫ちゃんの里親探しを緊急にしなくてはなりません。
残すタイムリミットは2時間弱です。
何故かというと手術をする段階で飼い主さんになってくれる方がいることが前提だからです。
(中略)
場所は神奈川県の藤沢市です。

緊急です。確実に飼ってもいいという方ぜひご連絡お待ちしています。
発見された当時の画像
このトピが立てられた時点で、何名かが一時預かりに名乗り出ました。その中で一番家が近かったのが私(マナ)でした。YOHさんは迷われたようでしたが、
「時間が経てば経つほど足の壊死が進み、助けられなくなる。とにかく早急に手術を」
ということで、予算内で手術をしてくれる茅ヶ崎市のS病院へ通院が可能な私を預かり先に選んだのでした。

こうして保護の翌日、無事S病院で手術をしてもらうことができ、後ろ両足は膝下で、右前足は足先を切断することになったものの、命を取り留めることができたのです。
予定では1週間ほど入院し、退院後は我が家でお預かりして里親探しをすることになっていました。
ところが、トピを見た方たちから治療費のカンパや物資の寄付などの申し出などが相次ぎ、こうした経験のないYOHさんは悩んでしまいました。
今後のケア・寄付金や物資の管理・会計報告・里親探し……それらを自分が中心になってやっていけるのだろうか、と。
そんな時、
「うちはボランティアをやっていて既に物資や寄付金の管理や雑事処理などの体制が整っているし、障害をもった猫の世話もしたことがありますから、お任せください」
というありがたい申し出をしてくださったのがチョコママさんでした。

考えた末、やはりベテランの方にお任せした方が猫のためにもいいだろうと、預かり先は私からチョコママさんへバトンタッチすることに。名前も、チョコママさんの案で「育生(なるみ)ちゃん」というかわいい仮名がつきました。
ただ、チョコママさん家は相模原市にあり、茅ヶ崎の病院へは通院ができないため、抜糸までの短期間、我が家で預かることになりました。

退院して我が家に来て3日目、育生ちゃんは風邪の症状が出てしまいました。劣悪な環境の野良時代にウィルスに感染していたのか、或いは入院した病院で移されたのか……。
大手術の直後なところへもってきての風邪。すぐにS病院に連れて行こうかと思いましたが、通院可能とはいえ、我が家からもS病院までは車で30分以上かかる距離です。YOHさん、チョコママさんとも相談し、もしも重篤な状態だとしたら長時間の移動は危険だと判断して、うちの猫たちの主治医のところへ連れて行きました。そこなら車で5分とかかりません。
そして、診ていただいた主治医に事情を話し、相談したところ、
「早いうちに(チョコママさん家へ)移動した方がいいでしょう。
大手術をした後だから、どうしても体力も免疫力も落ちているし、傷の治り具合も未知数。今は風邪の症状は出ているものの、熱も微熱だし症状が軽い。この先、風邪が悪化したり合併症などが出ないという保証がない以上、今のうちに移動させて、新しい環境に馴染んだうえで落ち着いて治療をした方がいいですよ」
とおっしゃったので、抜糸を待たずに引越しすることに決めました。

ところが、転院のために紹介状を書いてもらおうと、YOHさんがS病院に電話をすると、他の病院に連れて行ったこと、転院することにオーナーが怒ってしまい、
「風邪薬を飲ませているわけじゃなし、断脚しただけ。紹介状なんて書いてられません。勝手にしたらいいでしょう」
と怒鳴られたとか。3人で唖然としてしまいました。

そこで、できる限り今現在の育生ちゃんの健康状態をチョコママさん家のかかりつけ病院に伝えることができるよう、再度うちの主治医に診ていただき、念のために肺のレントゲンも撮っていただいたのです。
すると、レントゲンに、偶然、足の状態が写り、それを見た先生は首を傾げました。
「関節を残して切ってしまったようですね。
普通、断脚する場合は関節を残さないものなんですよ。関節を残してしまうと、骨髄液などが出て皮膚をダメにしてしまうケースがあるし、歩くのにも支障が出る可能性があるので。
それから、前足も、普通は皮膚や肉で骨を覆うようにして保護するために横側で縫合するんですが、地面に当たる場所で縫合しちゃってますね。これも、あまり良い状態とは言えないです。
これは、事によると再手術の必要があるかも……。あちらの先生にも見ていただいて、相談してください」
と言われてしまったのでした。

3月1日、不安を残したまま育生ちゃんはチョコママさん家へお引越ししました。
残念なことに、そちらのかかりつけ病院でもうちの主治医と同じ見解だったそうで、再手術の可能性もありそうです。が、今現在、育生ちゃんは安定しているようで、チョコママさんに甘え、抱っこが大好きなかわいい猫になって、本当の家族になってくれるパパママを待っています。 2008年3月 記
○育生ちゃんの怪我の原因について

育生ちゃんの怪我の原因は、当初は「電車に轢かれた」ということになっていました。
YOHさんは、一番最初に育生ちゃんを発見した時、保健所に通報したため、育生ちゃんはいったん保健所に引き取られ、保健所指定のH病院に収容されました。そのH病院が、
「電車に轢かれたことで間違いない。殺傷(虐待)の可能性は1%もない」
と言い切り、保健所も「病院が言う限り殺傷(虐待)とは考えない」という姿勢です。
しかし、電車に轢かれたにしては多くの疑問が残ります。

・3本の足が一度に切断されていたこと。
・内臓には全く損傷がなかったこと。

などなど。
YOHさんは藤沢警察署に届けを出し、警察は丁寧に現場検証も行ったそうです。
警察の見解は、「事故か事件かは何とも言えない」ということです。
また、轢かれたとされている交通会社にも問い合わせたところ、
「そういう事故の報告は受けていないし、猫が電車に轢かれてその(育生ちゃんのような)状態になるのは考えにくい」
という回答でした。

保健所とH病院はなぜ頑なに「事故」と言い張るのか。
育生ちゃんの怪我は、事故なのか人の手に寄る殺傷(虐待)なのか。
今の段階でははっきりとはわかっていません。
しかし、藤沢市では昨年から、こうした殺傷犯罪と思われる怪我をした猫が数頭発見・保護されています。
万が一、殺傷犯罪(虐待)であった場合、エスカレートして人間にも危害が及ばないとは限りません。どうかお近くの方は、「不審人物を見た」「怪我をした猫がいる」など、些細なことでもかまいませんので、警察に連絡してくださるよう、お願い致します。 2008年3月 記